
組み立てや保守点検でのミスをなくす方法
ヒューマンエラーの防止は、製造業における重要な課題です。「対策を講じているはずなのに、なぜか同じようなミスが繰り返される」と頭を悩ませている管理職の方も多いのではないでしょうか。組み立てや保守点検などの作業でミスが発生すると大きな事故や大量リコールなどにつながりかねません。
本記事では、製造業でヒューマンエラーが発生するおもな原因や、よくあるミスの例を解説します。ヒューマンエラーの具体的な防止策も解説するため、ぜひ参考にしてください。
ヒューマンエラーとは
ヒューマンエラーとは、人が原因となって引き起こされる、操作ミスや判断ミスのことです。特に製造業では、ライン作業や保守点検など同じことを繰り返す作業が多く、ヒューマンエラーが起こりやすいとされています。
ヒューマンエラーが発生すると、生産ロスや品質低下だけではなく 、大きな事故や企業のイメージダウンにつながる恐れがあります。こうしたリスクを回避するためには、従業員個人の努力に頼るのではなく、ミスが起きない仕組みを作るなど根本解決に向けた取り組みが不可欠です。
ヒューマンエラーが発生するおもな要因
ヒューマンエラーが発生する代表的な原因は、以下の4つです。
注意力の低下
睡眠不足や疲労の蓄積などによる注意力の低下は、ヒューマンエラーを引き起こす原因の1つです。特に、長時間同じ作業を続けたりシフト制で生活リズムが崩れていたりすると、集中力を保つことが難しくなり、ミスが誘発されやすくなります。脳機能の低下によるちょっとした判断ミスにより、大きな事故につながることもあるでしょう。また、仕事へのモチベーション低下も、注意力を下げる原因です。
コミュニケーション不足
コミュニケーション不足によって適切に情報共有がされないことで、ヒューマンエラーが引き起こされる場合もあります。たとえば、シフト交代の際や、別部門との連携が必要な際に情報がうまく伝わっていないと、必要な作業を飛ばしたり、同じ作業が重複したりするリスクが高まります。
さらに、コミュニケーション不足が原因で職場の風通しが悪くなると、問題点を上層部に報告しにくくなり、同じようなミスが繰り返し発生してしまうという悪循環が生まれかねません。
作業環境や設備の不備
作業環境の問題により、ヒューマンエラーが引き起こされることもあります。たとえば、騒音や暗い環境は、作業者の集中力や判断力を低下させる要因です。
特に、暑い季節は本人も気づかないうちに軽い脱水症状になったり、体力を奪われたりして、普段ならしないような単純ミスを招くことがあります。
また、機械のボタンが押しにくい場所にある、点検が不十分で動きが悪いといった設備の不備もミスを誘発します。
思い込みや慣れによるチェック不足
作業に慣れているベテラン ほど、「これくらい平気だろう」という思い込みを持ちやすいものです。「少しぐらい手順を省いても問題ない」と自己判断したり、必要な準備や確認を怠ったりすると、ヒューマンエラーを引き起こす原因になります。
思わぬミスを防止するためには、どんなに慣れた作業でも油断せず、手順通りに進めることが重要です。
製造業でよくあるヒューマンエラーの例
ここからは、製造業でよくあるヒューマンエラーの具体例を解説します。
部品の取り違え
たくさんの種類の部品を使う現場では、形が似ているものをうっかり取り違えてしまうケースが多いでしょう。たとえば、電子機器や車の部品などは、番号が細かく似ているものがよくあり、取り違えが発生しやすい傾向があります。もし誤った部品で製品 を組み立てると、不良品の大量発生や、最悪の場合はリコールに発展しかねません。
特に繁忙期には、疲れからこうしたミスが起きやすくなるので注意が必要です。
品質検査の記録ミス
製品のチェック結果を記録するときに、数字を打ち間違えたり、確認の印を忘れたりするケースもあります。品質検査におけるミスが発生すると、本来は規格外の製品が世の中に出てしまい、顧客からの苦情やペナルティにつながりかねません。
バーコードや自動計測による検査体制を導入している現場も多いですが、最終的には人が「OK」のボタンを押す以上、思い込みによる見落としをゼロにすることは困難です。
保守点検における作業漏れ
保守点検作業では、確認項目の抜け漏れや、手順の誤りなどに注意が必要です。たとえば、「機械に油を差すのを忘れた」「安全装置を入れ直すのを忘れた」といった小さなミスがあると、機械の停止や故障につながります。
こうしたミスは、慣れによる油断やチェックリストの形骸化などにより引き起こされやすく、結果として工場全体の作業を長時間止めてしまう危険性があります。
計量や設定の誤り
食品や化学製品の製造工場では、材料の重さや機械の温度・圧力などの設定を少し間違えるだけで、製品が決められた品質基準から外れてしまいます。
材料を機械で自動計測していても、最初の数値設定を手入力であれば 、その時点での確認不足が大規模な品質不良や設備の破損につながる可能性があります。ちょっとした設定ミスにより、製品が全て売りものにならなくなる「全数廃棄」のリスクがあり、多額のコストが無駄になりかねません。
突発的な事態における判断ミス
機械の故障や急な設備トラブル、天候の変化など、イレギュラーな事態に陥ると、判断ミスが誘発されやすくなります。マニュアルにはない臨機応変な対応を求められることにより焦りが生じ、適切な行動を取りにくくなるためです。
また、突発的な出来事があると、作業員同士の認識を統一しにくくなり、指示がうまく伝わらないことで事故のリスクが高まるという側面もあります。
製造業におけるヒューマンエラー対策
製造業におけるヒューマンエラーを防ぐためには、以下のような対策が求められます。
チェックリストの作成
作業の手順を整理した「チェックリスト」は、不注意によるミスを減らす基本対策です。特に重要度の高い作業では、2人以上の作業員によるチェックをルール化するとよいでしょう。複数人の目を通すことで、ミスを見つけやすくなります。ただし、人手不足の現場ではダブルチェックの工数確保が難しいため、近年では入力不備を自動で検知するデジタルチェックリストの導入も進んでいます。
また、チェックリストの内容は、定期的に見直すことが大切です。現場の意見を取り入れながら使いやすく改善していけば、作業員にとって本当に役立つツールになっていきます。
フールプルーフの導入
「フールプルーフ」とは、誤った操作をしようとしてもできないようにする、あるいは誤操作をした場合に機械を止める仕組みのことです。「人はミスをするもの」という前提のもと、「注意してミスを防ぐ」のではなく、「仕組みでミスを物理的に防ぐ」対策を施します。
フールプルーフを導入すれば、個人の習熟度に依存せず、誰もが安全に作業を進められるでしょう。
作業環境や業務フローの見直し
周囲の音や明るさ、温度、動線など、作業環境を見直すことも大切です。照明を明るくする、冷暖房の設定温度を見直すなど、実践しやすい改善策も多くあります。
また、業務フローにわかりにくいところや無駄がないか、定期的に確認することも重要です。業務フローの改善を図って終わりではなく、必要に応じて研修や勉強会を実施し、作業者の理解を促してください。
マニュアルの作成
ヒューマンエラーを防ぐためには、作業手順を明確化したマニュアルを整備することも大切です。
マニュアルを作成する際は、わかりやすさを重視しましょう。たとえば、「適当に」「しっかりと」のような人によって解釈が分かれる「あいまいな表現」や、難しい専門用語は避けるようにします。文字だけでなく、写真や図を使用するのも有効です。
また、既存のマニュアルに古い情報がないか定期的にチェックし、最新の情報に更新することも欠かせません。
自動化ツールやロボットの導入
ヒューマンエラーの防止には、バーコードスキャンやセンサーなどの自動化ツールや、作業ロボットの導入も効果的です。
人の手による作業では、どうしてもミスが生じてしまいます。これまで手作業 で行っていた作業をツールやロボットを利用して自動化すれば、ヒューマンエラーの防止につながります。
また、危険な作業をロボットに任せることで、作業者の安全を確保しやすくなるというメリットもあります。
ヒヤリハットの共有
ヒューマンエラーの防止には、「ヒヤリハット」の共有も欠かせません。ヒヤリハットとは、一歩間違えれば事故やトラブルが起きていた可能性のある出来事のことです。たとえば、「工具を落としかけた」「違うボタンを押しそうになった」といったものが該当します。
こうした潜在的なリスクを共有すれば、作業員の意識が向上し、事故や品質トラブルを防ぐための対策を講じやすくなるでしょう。
まとめ

ヒューマンエラーは、おもに注意力の低下や作業環境・設備の不備などによって引き起こされます。ヒューマンエラーを防ぐためには、ミスを減らし、影響を最小限に抑える仕組みが必要です。
しかし、人の意識や努力だけに頼る対策には限界があります。事故や不良品を未然に防ぐ点検作業には、デジタルツールの活用が非常に効果的です。
「CHECKROID」は、点検作業の電子化により、業務効率の向上やヒューマンエラーの防止を実現するツールです。製造業でよくある数値の打ち間違いや設定ミスも、しきい値設定による誤入力防止や二次元コードの読み込みによる点検表の取得など、ミス防止機能によって未然に防げます。
また、スマートフォンに特化したUI(ユーザーインターフェース)により、デジタル機器に不慣れな作業者 でも直感的な操作が可能です。無料トライアルも用意しているので、まずは気軽にお申し込みください。より詳しい機能を知りたい方は、資料のダウンロードも可能です。
