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ISO14001の基礎知識|要求事項や認証取得の手順・メリット・デメリットなど解説

2023.10.30

品質管理

品質向上

環境問題への関心の高まりを受け、国際規格であるISO14001の取得を目指す企業が増えてきました。しかし、担当者のなかには、ISO14001の取得手順が分からない人もいるのではないでしょうか。この記事では、ISO14001の基礎知識や認証を取得する方法などを解説します。ISO14001の取得に向け、ぜひ参考にしてください。

ISO14001の概要と要求事項

ISO14001について、環境マネジメントシステムや要求事項に触れつつ解説します。

ISO14001は環境マネジメントシステムの国際認証

ISO14001は、環境マネジメントシステムに関する国際規格です。また、環境マネジメントシステムは、環境に配慮しつつ企業利益を高める取り組みです。環境に対する世間の関心が寄せられるなか、環境マネジメントシステムへの取り組みは企業にとって急務といえます。

ISO14001の要求事項

要求事項とは、それぞれの規格を取得するために企業が実現すべき基本要件のことです。ISO14001の要求事項をすべて満たして審査を通過すると、晴れて規格を取得できます。 なお、ISO14001の要求事項のポイントは「環境側面及び環境影響の抽出」と「内部コミュニケーション、外部コミュニケーション」です。

ISO14001の理解を助ける基礎知識

そもそもISOとは何かに触れつつ、ISO14001の理解に役立つ基礎知識を紹介します。

ISOとは

ISOとは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)という非営利法人の名称です。その名の通り、ISOが定めた規格のため、ISO規格と呼ばれます。ISO規格の目的は、国際取引をスムーズに進めることです。

ISO14001における環境とは

ISO14001が定義する「環境」とは「自然環境」に限定されません。自然環境はもちろん、企業を取り巻く取引先、顧客、株主、国や自治体などもISO14001における環境に含まれます。

ISO14001を取得する目的とは

企業がISO14001を取得する目的は、環境パフォーマンスが高い企業ほど、環境にやさしい組織として社会的評価が高まるためです。また、環境マネジメントの仕組みづくりのために、ISO14001を取得する企業も見られます。

ISO14001を取得する方法

ISO14001を取得するためには、すべての要求事項を満たす活動実績が求められます。ISO認証機関による文書審査と現地審査に通ると、認定取得となります。

ISO14001を取得する手順

ISO14001を取得するためには、長期間にわたる準備が必要です。ISO14001を取得する手順を解説します。

1.担当者と専門チームをつくる

ISO14001の取得に向けた準備は煩雑で手間がかかるため、本業との並行は困難です。担当者や専門チームをつくり、従業員に負担をかけすぎないようにしましょう。なるべく複数名を確保して、負担を分散させるように配慮してください。

2.要求事項を入手し取得範囲を決める

日本規格協会グループ(JSA GROUP)が販売するISO14001の要求事項を入手して、取得範囲を決めてください。ISO14001は、事業所や部門単位での取得が認められています。認証取得の目的に応じて、取得範囲を決めましょう。

3.達成すべき目標を決める

要求事項を満たさなければISO14001を取得できません。ただし、目標は企業ごとに決められます。自社の環境方針にあたる目標を、現状調査をもとに設定しましょう。

4.目標達成に向けたマニュアルをつくる

企業ごとの目標を達成するために、マニュアルをつくりましょう。マニュアルがあれば、従業員間の作業のブレを抑制できます。また、新入社員や異動してきたばかりの従業員でも、マニュアルを見るだけで、スムーズにISO14001への取り組みを理解できるとよいです。

5.運用して確認する

作成したマニュアルに沿って業務を実践し、問題点を確認します。実際に手を動かしてみて分かる問題もあるため、認証前の確認は重要です。

6.PDCAを回して運用状況を改善する

マニュアルを運用しながらPDCAを回して、マニュアルを改善し続けます。ISO認証機関は、組織のマネジメント体制の改善に向けて内部監査を求めています。 内部監査とは、組織の仕組みが正常に機能していることを組織内の担当者や監査役がチェックする取り組みのことです。内部監査を実施すると、マニュアルを形骸化させず、環境マネジメントシステムを維持できます。

7.審査を受け認証を取得する

マニュアルを運用してある程度改善したら、ISO認証機関による審査を受けます。認証を取得した後は、必要に応じて「ISO14001認証取得」と名刺やポスターなどに掲げて、関係者に広くアピールしましょう。

ISO14001を取得する3つのメリット

ISO14001を取得すると、企業の印象がよくなり、コスト削減や企業ルールの整備にもつながります。

1.企業の印象がよくなる

世間は環境に配慮する企業に好意的です。ISO14001を取得して環境に配慮する姿勢をアピールできると、取引先が増えたり、顧客から注目されたりする可能性があります。また、グリーン調達を目的とする顧客から、取引先に選ばれるかもしれません。

グリーン調達とは、環境負荷軽減に取り組む企業と優先的に取引したり、環境負荷の少ない製品を選択したりする取り組みのことです。グリーン調達における調達先を選ぶ際には、ISO14001の取得が1つの目安となります。

2.コスト削減できる

ISO14001は、上述したように環境マネジメントシステムに関する規格です。環境マネジメントシステムとして省エネルギーや省資源に取り組むと、コスト削減につながります。

3.環境マネジメントシステムを目的とした企業ルールが整備される

環境マネジメントシステムのルールが明文化されると、従業員が取るべき行動が明確になります。ルールがあれば、環境関連のリスクを未然に回避可能です。また、環境に配慮して働いているという自信や社会貢献の気持ちから、従業員のモチベーションも高まります。

ISO14001を取得する3つのデメリット

ISO14001の取得にあたって業務が増えます。従業員への浸透に時間がかかる、コストがかかる、といった点も理解しておきましょう。

1.事務作業や書類の管理に手間がかかる

ISO14001を取得する過程で、書類やマニュアルを作成したり、記録を保管したりしなければならず、時間とリソースを取られます。上述したように、ISO14001の担当者や専門チームをつくり、特定の従業員に負担がかからないように配慮しましょう。

2.従業員への浸透に時間がかかる

ISO14001の取得に向けてマニュアルをつくっても、従業員が新しいルールを習得するまでには時間がかかります。新しいルールに慣れなかったり、事務作業や書類管理などの負担が重かったりすると、従業員の反発を受ける恐れもあります。

3.コストがかかる

ISO14001を取得した後も毎年審査を受ける必要があり、その都度コストがかかる点もデメリットです。高額なコストがネックとなり、ISO14001を返上する企業も見られます。

ISO14001取得にかかる費用の内訳

ISO14001の取得にかかる費用の内訳を解説します。準備から取得、維持にかけて、企業はまとまった金額を用意する必要があります。

1.準備費用

準備費用とは、ISO14001の審査を受けるにあたり、企業内ルールを決めたり文書化したりする際にかかる費用のことです。コンサルタントなどの専門家に支払う費用も、準備費用に含まれます。

2.ISO認証取得時にかかる費用

ISO14001を取得する際は、ISO登録料や文書審査料、実地審査料などで50万~100万円程度の費用が発生します。さらに、認証機関と事業所が離れている場合は、審査員の交通費や宿泊代も支払わなければなりません。

3.維持費用

ISO14001の認証を維持するためには、維持審査と更新審査を受ける必要があり、それぞれのタイミングで費用が発生します。一般的には、維持審査よりも更新審査の費用の方が割高です。

ISO14001関連の3つの審査

ISO14001に関連する新規認証審査・維持審査・更新審査の内容を解説します。

1.新規認証審査

新規認証審査には、一段階審査と二段階審査があります。2つの審査で問題がなければ、ISO14001を取得できます。

一段階審査は文書審査と呼ばれ、マニュアルや運用状況の記録などを確認されます。二段階審査では、審査員が現地で担当者や経営者などと面談して、環境マネジメントシステムの実態や要求事項との整合性を確認します。

2.維持審査

定期審査とも呼ばれる維持審査は、ISO14001を取得した後に毎年受けなければなりません。維持審査の目的は、環境マネジメントシステムの運用状況の確認です。また、更新審査を受ける年は維持審査が免除されます。

3.更新審査

ISO14001認証証明書の有効期限は3年間です。ISO14001の認証を受けた企業は、3年に1度の間隔で更新審査を受ける必要があります。更新審査では3年間の運用状況を確認され、要求事項との整合性も調査されます。

ISO14001とエコアクション21との違い

ISO14001とエコアクション21は、いずれも環境マネジメントシステムに関する規格です。2つの規格の違いを解説します。

国際規格と国内規格の違い

ISO14001は国際規格ですが、エコアクション21は環境省が定めた国内規格です。海外との取引が多い企業であれば、ISO14001を取得した方が、環境に対する取り組みを取引先にアピールできます。ただし、「金融機関によるエコアクション21の関連融資」などに見られるように、エコアクション21を取得すると、国内の経済活動が有利に働きます。

そのほかの違い

ISO14001とエコアクション21について、認証機関以外の違いを以下に示しました。

・認証範囲

・審査方式

・審査費用

・取得組織数

2023年9月時点の取得組織数は、ISO14001の約1万2,700件に対し、エコアクション21は約7,500件です。

※参考:適合組織検索|公益財団法人 日本適合性認定協会 ※参考:エコアクション21 中央事務局 一般財団法人 持続性推進機構(IPSuS)

まとめ

ISO14001は環境マネジメントシステムに関する国際規格です。ISO14001を取得すると、企業の印象がよくなるうえに、コスト削減や、マニュアル作成によるルールの明確化につながります。なお、ISO14001の取得・維持に向けた取り組みでは、点検業務の効率化が望まれます。 CHECKROIDは、スマートフォンを活用した点検を通じてDXを推進するサービスです。点検業務を効率化して、管理業務の約90%を削減します。ISO14001の取得に向け点検業務の効率化をお考えの人は、ぜひCHECKROIDをお試しください。